沿岸漁業
まき網漁
日本の食卓に上る魚の多くを担う。
未経験でも即戦力、就業のチャンスが多い漁業。
■ この漁の漁獲量が多い地域
長崎県・千葉県・島根県・宮崎県・三重県・鹿児島県・静岡県・大阪府・高知県・和歌山県
■ 主な魚種
この漁は、全国的にアジ、サバ、イワシなどの多獲種が中心
沿岸で魚の群れを探し、網で囲い込む。 役割ごとに船団を組んで漁をする。
時期や地域によって早朝に出港して漁を行う場合もあるが、まき網漁は夜間の操業が中心だ。夜に出港し、漁場ではだいたい4〜6回の網の投入と漁獲作業をする。漁場は港から30分程度のこともあれば、2〜3時間かかる場所まで航行することもある。通常は翌朝に港に戻り、水揚げや仕分け作業、船や装備の点検保全をして一日の仕事が終わる。長時間の航行や昼夜逆転の暮らしは覚悟しておくべきだろう。
全国各地の拠点で行われている漁で、多くの人手を必要とするため、新人の雇用が比較的多い。
魚群の探索から網の投入、そして水揚げまで、漁船員のチームワークが重要。
沿岸で行われるまき網漁は、魚群を探す「探索船」、光で魚を集める「灯船」、網を投入する「網船」、漁獲物を運ぶ「運搬船」など、 それぞれが役割をもって操業する船団方式で行われることが多く、その規模はさまざまだ。2〜3トンの小さな漁船1隻で行っている場合もある。
狙う魚はアジやサバ、イワシなど大群で回遊する魚。魚群を 探し出すための機器や船そのものの性能など、技術の進歩によって漁獲量が大きく飛躍した。現在アジ、サバ、イワシは年間漁獲高が制限されており、操業ごとにその漁獲量が都道府県に報告される。年間の制限枠を超えそうな場合は、操業日数を調整するなどして資源保護にも留意しながら漁が行われている。
大きな魚群を捉えたときの感動はひとしお。
仲間や地域になじむ心持ちも大切に。
船団方式のまき網漁の場合、特別な技能や資格を必要としない業務から始められることもあって、転職希望者など未経験者にも就業のチャンスは多い。
新人漁師は「網船」に乗船し、網の送り出しや巻き揚げの作業に就くことが多い。網を操るタイミングがこの漁の重要なポイントなのだ。まずは力仕事をこなしながら、船上でのチームワークを学んでいく。
季節ごとの魚種や漁場を覚える、船団のそれぞれが担う役割や実務を理解する、そして地域の生活に溶け込む…。そんなさまざまな経験をしながら、ステップアップのために必要な資格取得にも挑戦していこう。
まき網漁の仕事サイクル
大きな網で魚群を囲い込み、海中で網の口を絞り込みながら巻き揚げ、網に入っている魚をすくって漁獲する。夜間に投光して魚を誘い集めることが多い。沿岸漁業では船の大きさは5〜40トン、船団の規模はさまざま。
集合〜出港
夕刻から深夜に集合、準備をして出港
漁と漁場の移動
船団の規模などにより操業時間や回数、移動距離はさまざま
(1回の漁にかかる時間の目安は2時間ぐらい)
帰港/水揚げと選別作業
おおむね午前中に帰港する
(漁獲量、魚種が豊富なときは帰港後の作業時間も長くなる)