沿岸漁業
小型底曳き網漁
沿岸の底曵き網漁は小型船での操業がほとんど。
船で袋状の網をひいて多彩な魚を獲る。
■ この漁の漁獲量が多い地域
北海道・愛媛県・愛知県・三重県・山口県・香川県・兵庫県・島根県・大分県
■ 主な魚種
【北海道】ウニ、ホッキガイ、ホタテガイ
【東北】アカガイ、シャコ、カニ、カレイ
【関東】ハマグリ、カレイ、ヒラメ、タイ、エビ
【北陸】イカナゴ、カレイ、ヒラメ、エビ
【東海】エビ、カレイ、キス、ハゼ、シャコ
【近畿】エビ、カニ、カレイ、ハモ、アナゴ
【山陰】カレイ、タイ、イカ、エソ
【四国・山陽】エビ、シャコ、ヒラメ、タコ、ナマコ
【九州】タイ、イトヨリ、エソ、ハモ、エビ
港から1時間前後の漁場で水深100〜500メートルの海底にいる魚介を狙う。
比較的近場の漁場が中心。網を船尾から海中に入れて、1時間ほどひいたら巻き上げて漁獲し、またすぐに網を入れる。1日の漁でこれを数回繰り返す。
漁獲物は全国各地で実に多彩だ。カレイやヒラメ、アンコウ、キスなどの底魚たちはもちろん、エビやカニ、貝類などなど。季節や潮の流れの違いによって漁場や狙う魚種を変えるため、変化に富んだ漁になる。
「投網」、「曵き網」、「揚網」の繰り返し。
資源管理のための制限が行われている。
小型底曵き網漁には、錨を一定の場所に下ろして船を止めて網をひき寄せる漁法と、船を時速2キロほどのゆっくりとしたスピードで移動させながら網をひき回す漁法がある。船の設備が充実し、網を仕掛ける作業の機械化が進んだ現在では、後者が一般的。網の左右のロープを1隻でひく場合、あるいは2隻でひく場合など、地域によって網のひき回しの方法はさまざまだ。
乱獲が資源を絶やすことにつながる危険性を考慮して、近年は沿岸の小型底曵き網漁の漁期や操業区域の制限が行われている。また、各地の漁協などの自主規制で特定の魚種の禁漁・保護区の設定や、網の目を大きくして幼魚が網にかからないようにするなどの資源管理が行われている。
新人の仕事は獲れた魚介の選別から。 まずは船上作業に身体を慣らすこと。
操業する船の大きさは1〜2トンの小型船から15トンまで。小さな船は家族中心で操業しているケースが多いが、10トン以上の船になると船上作業に人手を要するため、組織的な新人乗組員募集の機会が増えている。資格や技能を問わない業務もあるので未経験者でも就業可能だ。
小型底曵き網漁では、地域や狙う魚によって夜間操業をする場合もあるが、多くは早朝に出港して夕方に帰港する日中だけの漁が多い。日々漁場へ定刻に “出勤” する感覚だ。時間外労働も少なく、規則正しい生活を送ることができる。船上作業は迅速さときめ細かさが求められるので、まずは船と仕事に身体を慣らすことが肝心だ。主に夏場に2〜3カ月の禁漁期間がある。禁漁期間には海底清掃や新しい漁期に備える業務にも従事する。
小型底曳き網漁の仕事サイクル
時速2キロ程度のスピー ドで船を走らせながら、網を曵き回す漁法が一般的。網を曵く時間は40分から1時間程度で、「投網」、「曵き網」、「揚網」を数回繰り返す。船を停泊させて行う小規模な漁法もある。
集合〜出港
未明に集合し出港(漁場までは1時間程度)
漁と漁場の移動
日中に5〜6回の漁と選別作業などを行う
(季節や魚種によって夜間操業するケースもある)
帰港
夕刻に港に戻る
翌朝の集合時間まで休息(日曜日など定休日がある)