沖合・遠洋漁業
サンマ棒受け網漁

太平洋をサンマの群れとともに移動する。
漁は夜間、大光量の集魚灯で網の中に誘い込む。

サンマ棒受け網漁領域
漁場は日本の200カイリ水域内のやや沿岸寄り。

おもな漁場は水温12〜18℃の海域。
北海道から三陸沖、さらに南へと移動。

サンマ漁は、ロシア海域やオホーツク海に群れがいる7月中旬から漁が始まるが、ピークを迎えるのは9〜11月。北海道の根室から襟裳岬沖が主漁場となり、太平洋東沿岸を拠点とするサンマ棒受け網漁の漁船が集まる。11月以降は三陸沖が中心となり、サンマの群れとともに船と漁師も南下する。漁船は40トン以下の船が半数以上を占め、大型船としては120〜130トンクラスが多い。集魚灯、誘導灯のランプと船体横の網を取り付けた長い丸棒が特徴だ。
サンマ棒受け網漁は夜間操業。夕刻に漁港を出て、沖の漁場に向かい翌未明までの漁が中心だが、漁獲の状況などによって、日中も沖合で待機して、そのまま漁を続ける場合もある。

光に集まる習性を利用する棒受け網漁は、安定的な収獲と供給を果たす画期的な漁法。

サンマ棒受け網漁は1930年代に千葉県の漁業者が、光に集まるサンマの習性を利用して開発したのが始まりだ。サケ・マスあるいはイカ漁の裏作として北海道で発展し、北洋サケ・マス漁の縮小等によって、1990年代からは表作として行われることが多くなった。乗組員の数は漁船の大きさによって変わるが、20トン未満の個人経営・少人数の漁船も少なくない。
魚群探知機やレーダーによる水温図データの活用、魚を網から吸い上げるフィッシュポンプなど機器の発展もあり、サンマの水揚げ量は大きく伸びた。

サンマ棒受け網漁
サンマ棒受け網漁

サンマ漁の操業は8〜12月。
季節が変われば別の魚の漁に向かう。

サンマ漁は、現在は総漁獲量制限が行われており、集魚灯の光量規制、操業管理の強化などによって資源の維持安定が図られている。サンマの季節が終わると、冬のタラや春のオキアミなど、他の漁に切り替わる。
漁船員は網の投入や、魚が入った後の絞込みなど現場で漁そのものを行うことはもとより、水揚げや集魚灯の手入れなどを含め、新人が即戦力となる機会は多い。漁は夜間に行われるが、サンマの群れとともに太平洋沖を移動する間は、日中も基地となる港での船上生活が通常だ。

サンマ棒受け網漁の仕事サイクル

サンマ棒受け網漁は夜間に行われる。まず右舷の光で群れをおびき寄せ、魚が寄ってきたら右舷の光を消灯、網のある左舷の集魚灯を点灯すると、魚は船首を回って網に誘い込まれる。網はウインチで巻き上げる。

サンマ棒受け網漁イラスト

出港
夕刻に出港し漁場へ

漁と漁場の移動
沖合の漁場で、夜間に漁を行う

帰港/水揚げ作業
朝7時ぐらいに港に戻り水揚げ(昼間は修理などの作業のほかは自由時間。サンマの群れを追って基地の港を移動するケースなど、長い船上生活が続く場合もある)

漁業のこと、漁師さんのこと、もっと学ぼう!