漁師.jpの研修制度:漁村での貴重な経験

こんにちは!漁師.jp馬上です。
【漁師.jp流研修制度】

「漁村に1週間滞在し、色々な経験をすることで今後の業務に活かそう」と昨年からスタッフ研修を始めました。
詳しい研修の経緯は過去のお喋りnoteに書いているのでこちらをご覧ください。

昨年、スタッフふたりが行ってきた報告は下記からご欄ください。
岩手県内での研修|inoko
愛媛県内での研修|kitai

今年は先陣を切って私が研修初参加🙌

最近の私の訪問先はInstagramのストーリーでの投稿で投げかけて決定することが多いです。
ストーリーは24時間しか表示されないのでたまたま見かけた方がDMを送ってくれて、調整がつけば寄らせていただくという感じなのですが、今回は北海道広尾町でこの時期は昆布漁師をしている保志弘一さんから声をかけていただき昆布漁研修となりました。

2023年の全国青年・女性漁業者交流大会で農林水産大臣賞を受賞した保志さんですが、研修が決まるまで面識はなく広尾町に着いて初めてお話をさせていただきました。

保志さんのこれまでの取り組みはくらしごとさんの≪こちら≫の記事に詳しく書かれています。

お会いするなり
「自分、結構まどろっこしい取り組みをしているんで!」からキレキレなトークが始まり、
「漁師っぽくないな~」というのが私の第一印象でした。

ちょうど同じ時期に東京海洋大学と北海道大学の学生さんで構成される「水産人カレッジ」のメンバーが10人ほど広尾入りしたこともあり、息子世代の学生さんとの5日間となりました。

初日はみんなで居酒屋さんに行き、自己紹介からはじまりました!

漁業権の関係もあり船での昆布漁や浜での「拾い昆布」をすることはできませんでしたが、保志さんがお父さんと採ってきた昆布を「おかまりさん」と呼ばれる昆布漁の陸周りの仕事をするみなさんに教えていただきながら学生さんと一緒に昆布を干したり、運んだり、収穫後の工程に手間暇のかかることを体感しました。

朝、7時ぐらいから昆布を干すと午前中でいったん仕事は終了、3~4時間ほど経つとパリパリな昆布になります。

乾燥したら、まとめてカットし倉庫に収納していくという単純な作業ではありますが、スピードとお天気と睨めっこしながら、質の良い昆布に仕上げていくのは簡単ではなく、スーパーに並んでいる昆布の価格が高いことに納得しました。

最近、「適正価格っていくらなんだろう」って思うことが多くあります。

色々なものが値上げし消費者にとっては苦しいことですが、生産者にとってはむしろ今までが安すぎたんじゃないか。

さんまの値段が1匹100円ってそもそもそれが適正価格ではなかったんじゃないか。でも一度安くなると消費者はそれを超える価格になった時には「高い」と感じてしまいます。

AIで適正価格を割り出してスーパーでの販売価格を決められたらどうなんだろう。。。

話を研修に戻すと、広尾町に滞在した5日間では保志さんから色んな方を紹介していただきました。
地域の漁師さんに話を聞いたり、広尾町を抜け出して車で30分のことろにある浜大樹漁港に秋鮭定置の水揚げを見に行ったりしました❤

漁業現場は朝が早いから早朝から夜まで1日フル稼働で、美味しいお寿司をいただきながら話をしたりと充実したで日々となりました。

その中でも私が一番印象に残ったのは昆布漁師のご家族からの話でした。
どこにぶつけたら良いかわからない話というかそんな話をしてくれたのが嬉しくもあり、深かった…

漁業の色々な課題がある中でこうしたご家族の声ってなかなか東京まで届くことはないけれど、漁師の数より多いご家族や周りの方々に寄り添うことって大事な部分なんだと思います。
私たちが簡単に解決できることはないけれど、この先漁師.jpができることを考えていく上での貴重な時間となりました。

この5日間は私にとってはこれまでの答え合わせであり

これからの原動力となりました。

昆布漁は獲れたてのお魚をお刺身で食べられる!みたいな楽しみがなかったけど、一緒に研修していた学生さんと切れっ端の昆布をつまみ食いしたのがホントにホントに美味しい!

学生さんたちは漁村体験を通じて漁業の現状や課題について学び、隙間時間を使って、食料調達のためにも釣りをしたり、牧場に行ったり北海道を満喫していました。

次世代を担う世代のこうした漁村での体験は、漁師を増やすところまでいかなくても応援してくれる人になることは間違いありません。

漁師さんにとって、自分のところで雇い入れる訳ではない学生さんをこのように受け入れることは、大変なこともありますが、水産大学の学生さんに限らず全国にこうした受け入れが増えるといいなと思いました。

「ワーケーション」という働き方が注目を集めている今、漁師.jp流研修制度はリフレッシュと漁村を知る意味も含めとても良い制度だと我ながら思いました。
どこでも仕事ができる時代なので、学生さんと一緒に釣りに行きたい気持ちをグッとこらえ、溜まったメールの返信をしたり電話をしたりして普通に業務をこなすことができました。
うみねこの声をBGMに仕事するのも悪くないですね!

これまで日帰りか1泊での出張で各地を訪問させていただいていましが、東京にいて議論だけしているより少し長く滞在してその土地のものを食べながら時間を気にせず話をする。

5日間という長いようで短い期間は充実した日々となりました。

保志さんを始めお会いできた皆様に心から感謝致します❤

漁業人材デザイナー 馬上敦子