【the働き方改革】「3K」を越えろ!漁師の未来を繋ぐ「安全・安心」の意識

漁師.jpスタッフお喋りnote

こんにちは!漁師.jp馬上です。

先日の高市早苗氏が「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いてまいります!」と発言されたことが、大きな話題になりました。ストイックに働くことの価値や、仕事にかける強い情熱は、私も一人の社会人として深く共感し素敵なリーダーだなと思いました。

しかし、そのストイックさとは別に「ワークライフバランスの視点」は、今、日本の漁業の未来を切り拓く鍵となります。

コロナ前まで漁業関係者や漁師さんに働き方改革の話をしても、
「そういうのは陸上の仕事の話で、漁師には無理でしょ。自然相手はそんなことどうにもならない。」
という声が多数派でした。
しかし、最近では
「ウチの会社(漁協)では休みを増やした。」とか
「できるだけ機械化を進めている。」といった話を聞くようになりました。
これは、皆さんが危機感を真剣に受け止め、未来へ繋ごうと努力されている現れだと感じます。


【危機的な担い手不足】

来年2月で、漁業就業支援フェアは24年を迎えます。
「えっ!もうすぐ四半世紀!」と驚いていますが、この24年間で、私たちは、本当に漁師になりたいという方を「漁師の世界って未来がある!」と胸を張って迎え入れられる環境を作ってきたのでしょうか?

漁業界の担い手不足は危機的な状況です。
漁業就業者数は現在11万4,820人まで減少しています(令和6年時点)。そして、高齢化も深刻で漁業就業者の約4割は65歳以上が占めています。
これは、数年後にはこの世代が一気に現場を離れることが見えています。


【安全と安心の徹底こそが、人が集まる第一歩】

次世代の人材に定着してもらうために、私が最も重要だと考えるのが「安全と安心」な環境整備です。

漁業は自然と向き合う仕事であり、常に危険が伴います。漁船事故に伴う死者・行方不明者数は、すべての船舶事故の中で約4割を占めており、これは決して小さな数字ではありません。

それ故に、「命を守る環境をつくる努力」をすることは絶対なのです。

「安全で安心して働ける環境」であること。
これこそが、若者や異業種からの新規就業者はもちろん、彼らのご家族や学校関係者が安心して送り出せる職場となります。

具体的にいうならば以下の3点です。

  1. 安全対策の強化:ライフジャケット着用、転落防止用設備の導入や船内環境の改善
  2. 技術・業務の標準化:「見て覚えろ」からの脱却とマニュアル整備
  3. コミュニケーション環境の構築:良好な人間関係と風通しの良い職場づくり

【「働き方改革」は漁業を未来へ繋ぐ】

「働き方改革」は、単なる労働時間の見直しではなく、未来に繋ぐための根幹となる土台づくりです。

これは、4つのポイントに整理しました。

  • 漁業経営の基本:船員法や労働基準法を守る「コンプライアンスの徹底」
  • 働き方を見つめなおす:年間・日々のスケジュールを見直し、「まとまった休日」の確保を目指す
  • 魅力ある職場を実現:漁船設備の改善、作業の効率化(機械化など)
  • 人材を活かす仕掛け:技術マニュアル作成、免許取得支援、円滑なコミュニケーション

私は漁師という仕事は3K「きつい」「汚い」「危険」な仕事だと思っています。

でも、現場で頑張っている漁師さんから3Kを否定するのではなく、こんな言葉を聞いています。

  • キツイけど、それ以上のやりがいや楽しさがあるんだ!」
  • 汚い作業もあるけど、新鮮な魚を丁寧に鮮度保持して出荷してるよ!」
  • 危険もあるけどちゃんと対策してるから大丈夫だ!昔とは違う!」

こうした言葉の中に、働き方改革の本質があるんだと思います。
特に「危険→安全対策済み」への転換。こうした努力が業界全体のイメージを塗り替え、人が集まる仕組みとなるのです。
私が思う、漁業の未来を支える次世代の仲間を増やすために本当にやるべきは、

良いことだけを発信するのではなく、一人ひとりが、この「働き方改革」を単なる義務ではなく、漁業を未来に繋ぐためだと意識すること。」

私たち漁師.jpも、毎回就業支援フェアの前は、現場の漁師さんの熱意に応えるため、働いて働いて働いています。なにせスタッフの人数が少ないから、繁忙期は総力を挙げて立ち向かうしかないんです。
でもその活力は、皆さんと一緒に日本の水産業を守りたいという使命感から来ています。
全国の漁村に日本らしさを残すために、総力を挙げて次世代に繋いでいきましょう。

すぐにできる取り組みとして、現在、ryousi.jp漁船安全月間キャンペーン実施中!!
安全対策は最強の人材確保です。

漁業人材デザイナー馬上敦子

#働き方改革