12万人の未来図

早いものであっという間に今年もあと1ヶ月を切りました。漁師.jp馬上です。

昨日の日本経済新聞の【1億人の未来図】は漁師について特集されていて、私のところにも記者さんが取材に来られました。

記事には「漁師は20年で半減した」「水産庁は2050年代には7万人に減ると予想する」と書かれていました。

私が漁業担い手対策の事業に携わるようになった20年前、当時は年間1万人減っている状況で、その勢いに驚きました。
何とかこの減少を少しでも緩やかなカーブにするために水産庁の担当官と連携し、様々な取り組みをする中で今でも注目を集めているのが【漁業就業支援フェア】の開催だと思います。

ですが、、、20年前は参加する漁業者が少なく、出展団体の掘り起こしに苦労していました。

「外から人を入れたってうまくいく訳がない」

「山の者は漁師にはなれん!」

「憧れだけで来てもどうせすぐ辞める」そんな声が多く

「資格のない奴は要らん」と遠洋船の出展はゼロ

そんな中ではありましたが、早朝の漁を終えて駆けつけてきて出展された親方などから

「都会にくればこんなに人がいるなんて、希望が持てた」

「このフェアをずっと続けて欲しい」

「東京の団体がこうして私たちの力になってくれることで頑張らないといけないと思う」

こうした声に励まされ、当時私は漁業についての知識が全くなく、そんな私を頼ってくる漁師さんがいるって本当に皆さん困っているんだと私自身いつも必死でした。

そのころの水産庁の担当官は山口県、宮崎県、鹿児島県などから来られた水産のスペシャリストで毎日長電話をしてたのが懐かしく、今でも何かと頼りにしている存在です。

そしてイベントの運営会社さんに頼ることも多く、漁業団体にはない仕事の仕方など色々なことを教えていただけたのもありがたかったです。

年明け2月に開催する「漁師の仕事!まるごとイベント 漁業就業支援フェア2025冬」
11月に出展団体を募集したところ、今年7月に開催した時に迫る出展希望をいただきました。
現在、出展条件の確認や調整をしているところです。

7月は3会場での開催でしたが、2月は東京大阪の2会場での開催、そして残念ながら予算の関係もあり会場の規模はこれまでの半分程度となります。

大阪会場でいうと、近年は大阪OMMビルのホールを2部屋お借りして開催してきましたが、2014年以来の1部屋のみでの開催となっています。

恐らく出展を断念いただく団体が多く出てしまうことを主催者として大変心苦しく思いますが、担い手対策の予算には限りがあります。

その予算をどう使うことが皆様にとって一番良いか、水産庁の担当官とも協議し、私たちとしても少しでも良いイベントにできるよう準備に追われているところです。

イベントを開催するに当たっては、来場者の確保にも苦慮しているところです。
開催費だけでなくPR費も十分ではない中、参加する出展団体や関係の皆様にもフェア開催の告知に協力いただいています。

昨日、焼津を訪問した際、漁師.jpサポーターである焼津まぐろ漁業㈱さんに立ち寄らせていただきポスターをお渡したころ早速…

お金をかけたPRや私たちだけの力では届かない人に届く…ありがたいですね!

こうして日本の漁業を残すために業界が協力し合う体制を作っていくことも私たちの役割だと感じています。

昨日の日経新聞の記事にも書いていただいていました。

「夢を抱き移住しても、挫折してしまう人も多いことが最大の課題。自然相手の仕事のため重労働だ。その苦労を上回る魅力や、安心して働き続けられる環境整備が急務。」

『漁師になりたい』という人を「山の者には無理」とか「どうせすぐ辞める」というのは簡単だけど、【働ける環境にする】という努力をしているところは、山の者も根付いているし、辞めたとしても嫌になってやめていないのではないかと思う。

これもいうのは簡単だと言われると思いますが、案外誰も言わない。
言う人がいない業界だからこそ、嫌われるの覚悟で言い続けた2024年でした!

さて、今年もあと1ヶ月、12万人の漁師さんの未来が明るいと思えるよう頑張ります!

漁業人材デザイナー馬上敦子