こんにちは!漁師.jp馬上です。
連日の出張と安全キャンペーン、海高ナビの始動と目まぐるしい日々を過ごしています。
人手不足が深刻化する中、いかに魅力的な職場環境を作り、若者や経験豊富な人材を惹きつけられるか。
これはあらゆる産業において重要な課題です。
今週はおくんち(祭り)で盛り上がる長崎県から始まりました!
まずは長崎県立鶴洋高校の岡野校長先生を訪問!
これから私たちが力を入れていく「海高ナビ」の取り組みについて説明させていただき早速参画いただきました。
そればかりか来週の水産高校の先生が集まる会議で説明のお時間をいただけるとのこと。
今後も生徒たちに寄り添った活動をして行きたいと思います。
翌日は、漁師.jpサポーターである株式会社東洋漁業様(長崎県)から依頼を受け、源福丸船団の乗組員に向け、
「選ばれる船であるために」
というテーマで研修会を行いました。
研修会には今年高校を卒業した新人漁師から70代のベテラン漁師まで幅広い世代の乗組員約40名が参加しました。ベテラン漁師と新人とは孫ほどの年の差です。
船団としては全体で45名。そのメンバーが船内で寝食を共にし、力を合わせて仕事をしているまき網船団。そんな皆さんに、私のような陸上にいる女子の言葉が果たして響いてくれるのか。
もしかしたら研修会の最中に罵声を浴びせられることもあるだろう。そうしたら最後まで話ができるかな…
不安だと思ったらキリがない。
まき網船団の漁師40人の前で話をする姿を想像してみてください。
大抵の人は避けたいだろう・・・
私だってできることなら避けたい💦
でも、私たちがサポータの皆様と目指している『若者がずっと夢をもって続けられる漁業界』にするにはこれを避ける訳にはいかないんです!
長崎市内から平戸大橋とその先にある生月大橋を渡った舘浦の研修会場に着くと、すでに乗組員が網仕事を終え集まってくれていました。
が、しかし、みんな笑顔ひとつ見せず歓迎されている感ゼロ(汗)
完全アウェイの空気に包まれながら広間に上がり、皆さんがこちらを向いてあぐらで座っている上座で慌ててPCを準備。
会社の方から今回の研修会開催の経緯をお話いただいた後に、自己紹介から始めさせていただきました。
前日、会社の方からこんなことを伝えて欲しいという内容がひとつだけありました。
「乗組員に国民への食糧安定供給という重要な役割を果たしているということに誇りをもって働いて欲しいと伝えてもらえないか。」
私はこれまでもこうした場で、「漁師の役割」ということをお伝えしてきているので、皆さんの頑張りが国民の胃袋を満たしているということをお伝えしつつ、自分の用意してきた話を1時間ほどお話させていただきました。
研修会なんて、楽しい話題で終わる訳はないし、
「漁師ってカッコいいし、憧れの職業ですよね~」
なんてキラキラを洗脳しようなんて思ってない。むしろ3Kだから安全対策をしっかりしましょう。「声がけ」をしましょう。お金かけずにできることありますよね!と、そんな話を私なりに精一杯お伝えしました。
参加者からは、選ばれる船とは「安全な船」「楽しい船」「人間関係が良い船」「食事が美味しい船」といった具体的な意見が聞けました。
改善したい点としては、若手からは「手順書の作成」や「罵声を浴びせるのではなく丁寧な指導」といった声、ベテランからは「コミュニケーションの改善」といった声がありました。
こうした声や今の状況を船団と会社、全員で共有できただけでも開催した意義があったのかなと思います。
7月に開催した福岡フェア会場で行った「ブースコンテスト」で東洋漁業さんは1位となっています。
実は福岡フェア前日に日本遠洋旋網漁協様が行った会社の方向けの研修会に東洋漁業さんにも参加いただきました。その時に私からこんなことをお伝えしました。
「皆さんが頑張って勧誘して入社した新人を船にお任せする。その先は船に任せたから人間関係で何かあっても知りませんでは無責任ですよね。彼らが長く働けられるよう船の環境を整える努力をしてください。」
私、嫌われちゃうかなって思いながら色々なところでこうした話をしています。
この言葉が会社の方には響いてくれたようで、労働環境改善の取り組みの一つとして今回の研修会の開催となり一歩進み出しました。
研修会後、乗組員にアンケートで研修会の評価を聞いてみました。その結果、内容の理解度、共感度共に95%の方が理解した、共感したと回答してくださいました。
そして講習会の中で、「ありがとう」という声がけをしましょうとお伝えしたからなのか、最後のフリーコメントに一言「ありがとう!」と書いてくださっている方が複数いらっしゃいました。
そのひとりが漁労長とは…涙
東洋漁業さんから年度内に残る2船団の乗組員に向けても研修会開催の依頼をいただいています。
近海のまき網船団だけで乗組員総数約140人!この数を維持していくことは大変なことです。
来年120周年を迎える東洋漁業として初めての「職場環境の改善」に向けた研修会で、こんな私が講義できたことは、私にとっても貴重な経験です。
こうした取り組みが少しでも漁業界にとって良い意味で陸上の産業に近づき、今後の労働力不足への対応策となるよう、漁師.jpとしても益々努力していきたいと思います。
漁業人材デザイナー 馬上敦子