祝100回☆彡漁師の仕事!知る授業

 


こんにちは!漁師.jp馬上です。

3月21日、今年度最後となる

漁師の仕事!知る授業

を沖縄県立沖縄水産高校で開催しました。

その前週の3月15日には北海道小樽水産高校でも開催しています。

漁師.jpでは、大型船の業界で深刻な課題となっている、海技士不足を解消する取り組みのひとつとして平成29年から水産高校・海洋高校で漁師の魅力を伝える漁業ガイダンスを開催してきました。

7年が経過し小樽での開催が記念すべき100回目✨の授業となりました!!

多くの水産高校は実習船を所有し、大型船の運行に必要な海技士の資格取得のカリキュラムがあり長期間の航海実習などを行っています。

また、魚が好きな生徒、釣りが好きな生徒などが多く、海技士を取得する学科でないコースの生徒にも「漁師」という職業に潜在的に興味を持っている生徒がたくさんいらっしゃいます。

ですので、大型船に限らず学校から希望があれば養殖業や定置網漁業などの沿岸漁業者をお招きし幅広い内容の授業を展開してきました。

実は私たちがこの取り組みを始める以前、

“高校を訪問したり求人票を高校に提出し生徒たちに求人していることをアピールする”といった一般の企業で行われている求人活動をしている漁業会社は極わずかでした。

これまで大型船の会社では親戚や地元の人、乗組員からの紹介など伝手で採用できていたこともあり、求人活動をするという文化とノウハウがなかったのです。

そういう私たちも漁業就業支援フェアを2002年から開催してきましたが、当時は新卒を採用するためではなく、中途採用をターゲットとしていました。いってみたら都会の仕事に疲れたサラリーマン狙い…

その理由は、

そもそも新卒で漁師になる人なんていないだろう・・・

辞めた人がいたから募集するのだから今すぐ働いてくれる人が欲しい。春まで待てない…という会社がほとんど・・・

そんなところでしょうか。

来場者も当然、ハローワークでポスターをみたという離職者やサラリーマンをしている(いた)けれど海で働くことに憧れて来ました。という方が大半でした。

思えばそのころ、20年間このイベントが続くこともフェアの来場者の30%が学生となることも全く想像していませんでいた。

話はガイダンスに戻りますが、キラキラした高校生を前に海の近くの教室で漁業会社の方たちが(冷)汗をかきながら漁師の魅力について説明するこの取り組み。

先生方から「生徒たちが普段の授業と違う前のめりの姿勢で話を聞いていた」

「漁船に乗りたい生徒はいなかったのに、授業のあと漁船に興味を持ったと何人かの生徒が言っていた」

など各社の一生懸命な説明が伝わったのか嬉しい声をいただきました。

漁業会社側は初めての求人票の作成に戸惑いつつ学校に提出するという流れができました。

初めて新卒を採用した漁業会社さんは採用に戸惑い、全員が全員スムーズだったわけではないのかもしれませんが、

「一人入社したら次の年、後輩がうちの会社を希望してくれた」という嬉しいループが見られるようになりました。

その一方で「船の雰囲気がよくない。」「あの船はやめとけ!」といった情報もすぐに後輩に伝わっているようですが生徒たちを思えばこれはとても大事な先輩の取り組みです。

下記の表は全国の水産高校生の卒業後、船舶に就職した人数です。

表のとおり、少子化等の影響もあり、平成28年度に3,140人だった本科の卒業生が令和4年度には2,698人と約500人減っています。

一方、漁船に就職した人数は減少傾向とはなっておらずガイダンスを実施した7年間の平均値が128人と8年前の116人に比較して増えています。

これがこの取り組みの成果であるとは言い切れませんが、先生方などにも一定の評価をいただき高校と良い関係を築くことができていると自負しています。

 

 

焼津水産高校の先生方と焼津まぐろ漁業の方

もうひとつお伝えしたいのは、最近、漁師の仕事!知る授業での漁業会社の担当者のプレゼン力がとても上がっています。

最初のころは資料すらほとんどない会社もあったのですが今では皆さん動画などを用いてわかりやすく、高校生が一番気になる待遇などもしっかりとお伝えしています。

 

漁業の場合、獲れ高による生産奨励金が大きく、基本給だけを示しても実際に手にする額が高くなることが多いけれど、払えるかわからない額を記載することができず生徒が選択する上での重要項目である給与に明記しにくいというもどかしさがある中、ガイダンスでは

「昨年の新人の年収は〇〇〇万円でした!」

 

「仕事は大変だけど数ヶ月に一度海外の港に入港するとここぞばかりお金を使って楽しんでる」

 

「2年働いた先輩は現金でイイ車買って休み中は乗り回してる」

 

そんな話をするとどよめきが起きるブース、ニヤニヤして友達とアイコンタクトを取る生徒…終わるころには「漁師になってもいいかなって思えました」と言ってくれる生徒がたくさん現れることがあるんです。

 

私はそれを7年間微笑ましく見守って来ました。

 

漁師って3Kだし、自然相手で大変な上に不安定かもしれないけれど

 

若者が夢を持てない今の世の中、がんばったら稼げる漁業もあり、この仕事が日本人の胃袋を支えてる!そう考えたら素晴らしい職業じゃないですか!

小樽・沖縄の2回のガイダンスの前夜には漁業会社の方々と懇親会を開催しました🍻

私たち漁師.jpはいつもこうして全国の漁業関係者の皆様と直接対話し色々な取り組みをしていますが、お会いする当日はいつもバタバタしていて話をする時間がないことは勿体無い。

そして私たちと関わる皆様が業種は違えど同じ水産に関わる者として繋がり情報共有をするプラットフォームを担うことも大切な役割だと常々感じています。

この1年、いくつもの漁業会社の方から「同じ漁業者として協力してこの人材難を乗り越えましょう!」といった言葉を聞くことがありました。今回の懇親会でも初めてお話したという漁業会社の皆さんでこうした思いを共有することができました。

小樽水産高校でのガイダンスには水産高校を10年前に卒業した海外まき網船の一等航海士として活躍されている先輩が来てくださいました。

時々こうして先輩が参加して卒業後の自分を想像させてくれる「漁師の仕事!知る授業」

今年度は終了となりましたが、来年度の開催校も募集しています。水産高校に限らず、中学から大学までそれぞれ皆様のご要望を伺って開催させていただきますのでご希望がありましたらお気軽にご相談ください!

 

漁業人材デザイナー馬上敦子