定置網漁師デビューしたハナシ | 漁師.jp流研修制度

こんにちは!KITAIです。

先日、馬上が先陣を切り北海道に研修に行っておりましたが、私も行ってきました。
今年は三重県尾鷲市へ。
漁業就業支援フェアにも出展されていた、松島定置さん!

松島定置さん Instagramアカウント 
はし佐商店さん Instagramアカウント
はし佐商店さん X(旧Twitterアカウント)


松島定置さんは小型定置網漁船を所有し、6人で操業されています。
これまで定置網の船には、操業をお手伝いをしたわけではありませんが、大型定置網の船に一度乗せていただいたことがありました。
今回の小型定置網は、大型とどのように違うのか?
目で見る数値だけなら船のトン数は8.5tと確かに小さめです。

お手洗い付きの新しい船!
沖でも安心ですね!

朝3:30に集合、準備をし出港です。
当たり前ですが、あたりは真っ暗です。

漁場までは船で20分ほど。
自慢なのですが、私、船酔いを全くしないのです。
どんなに波が高くても全く酔わないのです。
三半規管が強いのかバグっているのか、この特性はずっと持ち合わせていたいものです。

漁場に着いたら、全員で箱網を揚げていきます。
網を揚げるといっても「よいしょ」の一瞬で済む話ではありません。
網には揚げるためのロープがついていて、それを順番に揚げていくことでせっかく網に入った魚が逃げないように工夫されていたりします。
大きな網は水で濡れている分重いし、藻や泥が付いていたりします。
揺れる船の上でそれを行うわけですから、当然危険です。
船頭さんの合図で、乗組員全員が息を合わせる必要があります。

網を引っ張っていく作業に参加させてもらいましたが、とても緊迫した雰囲気でした。
陸に上がると明るくて面白い船頭さんも、このときばかりは怖いです。

これは明るくて面白いときの船頭さん

でも、当然ですよね。
「怖い」と一言で捉えてしまえばそれまでですが、危険を伴う仕事だし、水揚げは収入に直結するし、乗組員さんたちをまとめ上げるわけですから。
大きな声も出すし、力も入ります。
リーダーってそういうもん。

それどころではなかったので撮影はできていませんが、だんだん網を揚げていくと魚たちが見えてくるのですが、この瞬間がとてつもなくわくわくする!!!
あれは何の魚で、あっちはこんな魚で・・といろいろ教えてもらったのですが、私の頭のストレージに余裕がないせいで全ては覚えきれず・・・勉強します。

ムーミンの島と言われているらしい。私にはうつ伏せのヨッシーに見えます。

ロープを引っ張るのは機械で作業ができますが、最終的に網を引っ張るのもタモで魚をすくうのも、全て手作業です。
速さと丁寧さが求められます。
最終日の終盤では、握力を使い果たし腕に力が入らなくなりました・・情けない・・

基本的に毎朝2:30に起きて自転車で港まで行き出港、水揚げをして朝ごはんをいただき、陸仕事に移行する。
こんなスケジュールで動いておりました。

朝ごはんの魚をさばいてくれる船頭さん

陸での仕事は網の補修や錘の準備など。
網の補修を少しチャレンジさせていただきましたが、1日2日でこなせるような技術ではありませんでした。

漁師さんの仕事って、海に行って魚を獲っているイメージが強いと思いますが、陸での仕事も大事な作業です。
破れた箇所から魚を逃がしてしまわないよう、補修しなければいけません。
網って決して安くない。
網での漁を行う漁師さんたちにとって、網はとても重要な漁具です。
だから漁師さんたちは網をとても大切にします。

皆さんで合わせて、漁師.jpのTシャツを着てくれました!
嬉しい!かっこいい!!

私は日差しを恐れてこんな感じ。
結局、久しぶりに日焼けをしました。
(東京に戻って最初に言われたのが、「焼けたね」)

晴れたのは初日と2日目だけで、残りの2日間は雨に降られてしまいました。
それでも魚を獲るために漁師さんたちは沖へ出ます。
大変だけど、雨の中の出漁も経験できてよかったと思っています。

このような5日間を過ごし、5日間ではありますが、定置網漁師デビューしたわけです。

楽しかったし、それと同じくらい大変でした。
今まで陸上での仕事しかしたことがない私は、朝は7時に起きるし夜は日付が変わってから寝ることが多いです。
出張に行く時でなければ基本的に室内にいて、パソコンに向かっています。
でもそれが、全く真逆の生活になるわけです。
日が昇る前に起きるし、そのために早く寝なければいけないし、仕事中はずっと野外です。

漁業就業支援フェアには、同じように陸上の仕事しかしたことがないけれど、漁師になりたいという人が多くいらっしゃいます。
その心意気は嬉しく思うし、ぜひ漁師になって頑張ってほしいと思う。
だけれど、”なんとなくやってみたい”では、きっと上手くいきません。
どんな仕事でも、真剣に取り組む姿勢を持てなければ成長しないし、自分自身もつまらないですよね。

正直に言ってしまえば危険だし汚れるし、疲れます。
でもそれ以上に「面白い」し「かっこいい」。
日本の魚食文化を支えるには、漁師さんの仕事は必要不可欠です。
漁業就業者の減少が深刻化している中で、そんなこと言ってられるか!と怒られてしまうかもしれませんが、真剣に向き合える人が漁師になってくれるよう、漁師のファンを増やす活動を私は頑張っていきたいです。

まだ2年目の私が、研修を5日間させてもらっただけの私が、そう思うくらい。
濃い、貴重な時間となりました。
生意気言ってすみません。

お忙しい中、研修を受け入れてくださった松島定置さん、ありがとうございました。
また、今年も研修の機会をくださった漁師.jpのみんなにも改めて感謝します。