5月17日清水港より第87長久丸が約1年の航海に旅立ちました。
この船に今回初めて乗船する2人は昨年の東京大阪で開催した漁業就業支援フェアに参加した当時大学4年生だった新卒漁師です。
出港3日前に漁師.jpのLINEに突然「お土産よろしく」というスタンプが送られてきました。
これもしかして!!昨年初めて開催した漁師就活セミナーに参加して、漁師の日の記念セレモニーで立派なメッセージを送ってくれた仁太くん!
あれから1年、きっとすごく色々考えて乗船することを決めたのでしょう。
船の中で食べたいものってなんだろう。考えても私にはよくわからなかったけど、同世代の私の息子の好きなグミやみんなで食べられるお菓子を新横浜駅で買って新幹線に飛び乗り、清水港に向かいました。
港に着くと次々と届けられる差し入れを新人たちが船に運び入れたりで忙しそう。聞きたい話はいっぱいあったけどお菓子を渡して私の任務は終了です。
大阪の大学を卒業した二人を見送りにこられたそれぞれのご両親とはお話をすることができました。
早く来たご夫婦は船内の見学もされてこれから我が息子がどんな生活をするのか、熱心に見ていらっしゃいました。そりゃあ気になりますよね。
就活セミナーに参加した仁太くんのご両親からのお話では、実は別の陸上の会社にもいくつか内定していたそう。
「最終的にどこかに決めるのかなと思ったら、やっぱり自分は漁師になりたいから長久丸に行きたい。」と言ってきたそうです。反対されると思って最後まで言わなかったようですが、ご両親も色々と話を聞いたりして反対はしなかったし応援しているとのことでした。
もう一人の方は、昨年の9月の台風が迫る中で開催した大阪フェアに、授業が終わって大急ぎでご両親の車で会場に来られたそう。たくさんは話を聞けなかったけれど事前に調べて参加されたのか、短い時間でもここに行くと決められたようです。
「あのフェアが開催されなかったらうちの息子はどうしていたか。台風の中だったけど開催していただけて本当に助かりました。」というお母様のお話を聞いて、公共交通機関が止まると報道されたため迷うところもありましたが、時間短縮して開催する主催者判断は正しかったと今更ながら思うことができました。
初めての遠洋航海に旅出つ我が子を見送る二組のご両親。
最後まで写真を撮り、紙テープをもって笑顔と涙でお見送りです。
大切な息子さんが大きく成長して帰ってくることを1年待つのかと思うと、船の皆さんに願いを込めるしかありません。
この船には2回目の航海になる2人も乗船しています。最初は船酔いでどうにもこうにもでしたが、すぐに慣れてインドネシア人とも仲良くなったそう。
そしてもう1人、3年目になる乗組員もいたのですが事情により今回はいったん下船となりました。
それでも出港時、だれよりもみんなに声をかけて手伝っている姿を見てきました。
終身雇用の時代は終わり、だれもが転職する今、こうして下船する判断をした者が、残った仲間を陸からサポートする姿はとても良いことだと思います。もちろん船主さんからしたら乗ってほしいことは間違いありませんが。
彼に話を聞いたところ、「家庭の事情で今回は降りることにしたけど、あいつらのことが心配で!仕込みからずっと手伝ってるんです。でも自分が乗った時は若い人いなくて一人だったけど今は4人になったから大丈夫かな。」と。
イイ話をたくさん聞かせていただいて、私は次の新人探しの旅です!
長久丸の佐藤さんにお見送りに来られている関係者に就業支援フェア2023のPR活動のお手伝いをお声がけいただきました。とにかく色々なところにポスター・チラシを貼っていただき、一人でも多くの方に「漁師ってなれるんだ!」ってことをお伝えしないとです。6月3日には焼津でのフェアも控えています。
新人くんのご両親もテニススクールに貼れるかも!と言ってくださりお渡しさせていただきました。
船上カメラマンの神野東子さんも撮影に来られていました。コック長のお料理は美味しいと女子からの高評価は間違いないです!
漁サポ 第87長久丸の乗組員の皆様 安全に楽しい航海で美味しいマグロを獲ってきてください!
漁業人材デザイナー馬上敦子