「選ばれる船長になりたい」

先日、2回目となる船員向けの研修会の講師をさせていただきました。

漁師.jpでは漁業就業支援フェアの開催や水産高校でのガイダンス、自衛隊の駐屯所や合同企業説明会など機会をいただける時はできるだけ出向き、漁業の魅力を伝えるなど様々な活動をしてきました。

この活動を通じて漁師になっていく方をみて一緒に夢をみさせていただく一方、短期間で辞めてしまう現実を突き付けられることがあります。

これを何とかするためにと今年の4月から「漁師.jpサポーター」の募集を始めました。

※漁師.jpサポーターの募集はこちらをご覧ください。≪漁師.jpサポーター

「夢をもって漁師になった方の中には、ハラスメントにより辞めていく人もいる。これを何とかしたい!」

「他の産業と肩を並べて人を取り合っていくには、漁師は働き方改革なんて関係ない!ではダメなんです!」

「漁師.jpは悪いところを取り締まる機関ではない。良いところに花丸💮を付けて、ここはうちのサポーターなので安心ですと発信していきたい!」

ということをある会議で発言したところ、それを聞いていた方から、

「それならうちの船員に講習をしてくれないか」という相談がありました。

今までパワハラ講習会というものを受けたことがなくどんな内容なのかもわからない私で全くの想定外でしたが、依頼者より

「よくあるパワハラ講習会では意味がない。内容は任せます。1度で全てがうまく変わる訳はない。何度か開催していけないだろうか。」とのことでお引き受けすることになりました。

1回目は残念ながらオンラインとなり、今までの漁師.jpの活動とその中での私自身の役割などをお話させていただきました。

今回、2回目は現地を訪問し16名の船員さんたちと1時間の研修会を開催しました。

せっかくの対面での講習会。一方的にお話するのではなく質問形式で参加型の研修会にしたいと思ったけれど、さあ、何を質問しよう???

正直、今までの長い社会人生活の中で講習会なんてものにほとんど参加したことがなく生きてきた私に何が話せるんだろう・・・

あ、でも、パワハラ講習会は受けてないけど「パワハラ」は受けたことある!!そんなとき、自分はどうやって乗り越えたんだっけ??

研修会で船員さんたちに投げかけた質問

質問① 働きやすい環境ってどんな環境ですか?

質問② この船の役割は何ですか??

質問③ この船の中での自分の役割は何ですか???

若手船員もベテラン船員も真剣に意見を出してくれました。

出てきた意見をみんなで共有し、その内容をひとつひとつ掘り下げて共感できることを共感して進めていくことで濃厚な1時間となりました。

「今の若い船員はきっといろいろな船に乗り、たくさんの船長と出会うだろう。

色々な船長を経験した中で自分のやり方を選んでくれるような、そんな船長になりたいと思った…」

一番前に座り、最後まで一言も発言しなかった船長の言葉。

その後ろ姿をみた皆さんが、どう感じたか…

帰りの新幹線でこの1時間を振り返りながら、

きっとどの船長も、一本通った自分の信念を簡単には変えられない。

孤独の中で色々なことと戦っている。海の男って感じだよな。

でも昭和なんだよな。昭和ってそもそも別に悪い時代ではなかったのになって悪者扱いの昭和に同情💦

ほかにも、「今の若者はオレらからすると宇宙人だ。宇宙人とどう向き合っていけばいいかわからない」といった、本音もありました。

「明るい職場で働きたい。上司になんでも相談できる環境がいい。」と言っていた若手や、自分の役割を明確にし、これから伝えていきたいと言っていた中堅乗組員。

ひき気味に引き受けた講師でしたが、私自身がとても勉強になりました。もっとこういう話ができればよかったとか反省点は色々ありますが、私が何を言うより、皆さんがどう考えるか。

最後の船長の言葉を受けて、研修会の中でお話したのが、

「終身雇用の時代は終わった。今の若い人は嫌ならすぐに辞めるし、よかったとしても優秀な人はもっといいところにステップアップする。船長がおっしゃったようにそれでも選んでもらえる人であり、船であるかどうかが問われる。私も選んでもらえる人になりたいなと船長の言葉を聞いて共感しました。

3回目、また呼んでいただけたら、良いエピソードが聞けることを楽しみにしています。」

それにしても今まで自分が受けたパワハラがこんなところで役に立つとは、人生わからないものですね!

海を見ながら明るい職場で働きたい!船員なら誰だってそう思うはずですよね。

漁業人材デザイナー 馬上敦子